【コンビニの原価計算】直接原価計算と最新の原価戦略!

今回は、身近な小売店であり最新の原価戦略を実施している「コンビニエンスストア(以下コンビニ)」をとりあげます。

◆◆直接原価計算って何?◆◆

直接原価計算とは、原価を変動費と固定費に分けて計算する方法をいいます。分けるメリットとして全体の損益分岐点が把握出来るという点にありますが、変動費と固定費に明確に分けられない費用も存在するため、1つの分析指標として使用される事が多いです。

直接原価計算方式による損益計算書は、売上から変動費を控除したものを限界利益と呼び、限界利益から固定費を控除したものが営業利益となります。

この限界利益が固定費以上にならなければ「赤字」となるので、いくら売上げる必要があるか一目瞭然です。

<直接原価方式 損益計算書
(変動損益計算書とも呼びます)>

 売上
 変動費
 ―――
 限界利益
 固定費
 ―――
 営業利益

売上の70%が変動費となれば30%が限界利益です。


◆◆喫茶店で考える直接原価計算◆◆

仮に喫茶店の売上が月間50万円であれば15万円が月間限界利益。喫茶店の変動費は主に材料費なので、固定費といえば家賃、水道光熱費、人件費となります。この事例はきっと固定費のほうが限界利益より多くなってしまうでしょう…。

では、固定費が45万円とすると?限界利益を45万円として試算すれば損益分岐点が出せます。
45万円÷30%=150万円!150万円の売上が無ければ赤字という事になります。

<通常の損益計算書>

 売上
 製造原価
 ―――
 売上総利益
 販売費及び一般管理費
 ―――
 営業利益

損益分岐点を算出するため、通常の損益計算書を分解し、変動損益計算書として再構築する企業もあります。財務会計上、決算書として世に出すのは通常の損益計算書形式です。変動損益計算書はあくまでも管理会計。つまり、会社内部の意思決定に使用する損益計算書というワケです。


◆◆コンビニの直接原価計算◆◆

コンビニの変動費と固定費を考えてみると、基本的に24時間営業という形態をとっているため、店舗運営に必要な労務費・経費のほとんどを固定費として考える事が出来ます。

変動費は商品仕入及び本社へのロイヤリティとなりますが、忘れてはいけないのが廃棄される商品の損失です。いかに廃棄を出さず、限界利益を固定費以上にするか。ここが最大のポイントです。

コンビニ業界は日商40万円というのが1つの指標となっており、この金額が損益分岐点といえるでしょう。客単価を500円と考えれば単純に800人の来客が必要ですが、現実は商品点数約三千点を老若男女幅広い人が様々な時間帯に購入しているため非常に複雑な要因が絡んでいます。

では、どうすれば良いか?「売れる商品だけを仕入れる」という事です。

そんなこと出来れば苦労しない!と小売店の社長からツッコみが入りそうですが、コンビニ業界はこの最強の原価管理を実践しています。


◆◆小売業の最新原価戦略・アナリティクス◆◆

“アナリティクス”という言葉を聞いた事がありますか?

企業の内外に存在する様々なデータを分析し、ビジネスの具体的な成果につなげるまでの一連の活動を指します。

具体的な手順としては…

①別々のところで蓄積されたデータを統合する
②その莫大なデータを分析すると、そこに何らかのパターンが発見出来る
③それをさらに別のデータと組み合わせて照合すると、様々な予測が可能となる
④その予測に基づき事業を進めて利益を得る。

これを積極的に経営に取り込んでいるのが、コンビニ業界なのです!

様々な予測をする事によって、既存商品の細かい条件別売れ筋・死に筋を把握し、新商品開発にもその結果を流用する事によって、開発段階からマーケットを明確にし、無駄な原価を押さえています。

よく「製品は作ってみたけど売り先が無い。」という言葉を聞きますが、原価管理としては0点です。

ここで一つコンビニアナリティクスの事例をご紹介します。


◆◆事例 ローソンの菓子パン◆◆

Googleで「ローソン 菓子パン 31位」と検索してみてください。

「ローソン 31位の菓子パンを売り続ける理由」に類似した記事が複数出てくると思います。

簡単にまとめますと、データ分析の結果、菓子パン売上では31位という発注停止候補のパンが一部の女性客から頻繁にリピートされており(具体的手順の②です)、このパンはローソンにしかない商品だと判明(手順③です)。
発注停止した終いには大事な顧客を逃す事になるため、31位でも売り続けると決断。売上データだけ見ていては分からない本当の支持率が複数データを分析することによって判明し、損失を回避できたという事例です。

面白い記事なので、是非読んでみてください。


◆◆まとめ◆◆

優れた企業はアナリティクスを重視し、独自の予測モデルを持ち、常にスキルを磨いています。

何気なく企業に溜まっているデータはありませんか?そこに埋蔵金が眠っているかもしれません!

心当たりのある企業は是非アナリティクスを実施し、原価管理に役立ててみてください!
(文:和田仁支)

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テーマ : ☆経営のヒント☆
ジャンル : ビジネス

プロフィール

名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

企業も人も十人十色。全く同じ会社は世界に二つと存在しません。そして、御社の原価も全く同じものは存在しません。


まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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