【玩具の小売業の原価計算】消費税増税で泣くのは常に弱者である個人商店

今回は、タイムリーな時事ネタです。消費税が増税する事は周知の事実と思いますが、ここで2つおさらいをしましょう。

①消費税に関する税制改正で、現行5%が平成26年4月~8%、平成27年10月~10%に段階的に引上げられます。
②大手業者が消費税の価格への転嫁を拒んだりすること等を禁じる法案が4月12日、衆院本会議で審議入りしました。
 
何故このような法案が出来上がったのか?その狙いは、中小零細企業の原価に増税分が上乗せできない『下請けイジメ』を防ぐことです。

それでは、具体的にどのような影響があるのか見てみましょう。

【事例】玩具の小売業(零細企業)
 ※プラモデル部門のみ抜粋。文中の金額は全て消費税込。

当社は、プラモデルを卸問屋から定価の35%OFFである682円で仕入れて、定価の1,050円で店頭販売していました。しかし、大手玩具屋では定価の30%OFFが当たり前になっており、ここ数年は当社も735円で販売しています。店頭販売の儲けは定価の5%です。なお、当社はあるサイトにネット店舗を出店し、ネット販売も実施しています。その出店料等は定価の5%であり、実質儲けはありません。
ここまで見るとプラモデルの小売業は儲からないように見えますね。しかし、ネット販売の送料を高く設定しているとしたらどうでしょう。運送業者と契約しているため実際の配送費は安く済みます。「1品で送料1,000円、一括購入でも送料据置。」このような文字を見たことありませんか?ネット販売の送料で大きく利益があがるため、人件費と店舗家賃等の固定費を吸収出来るという構図です。
 では、消費税が増税し8%になった場合にはどうでしょうか。モノを仕入れないと売上が計上出来ない業種の性質上、卸問屋が増税分を価格に転嫁して702円となっても買うしかありません。しかし、大手玩具屋が卸問屋の増税分を拒んだら?大手だけ682円で仕入れるため販売価格は以前と同じ735円が設定可能です。こうなると当社も735円で販売する他ありません。つまり、増税分が価格に転嫁できず、原価に算入されてしまいます!運送料にも消費税が転嫁できなければ、影響額は膨らむいっぽうです。

 今回は小売業を例に消費税増税の影響を説明しましたが、文中に出てきた卸問屋が大手メーカーから増税分の価格転嫁を拒まれたのがまさに『下請けイジメ』です。この影響が下請けだけで留まらない。ということが今回の事例で一番お伝えしたかった事です。
消費税が導入されて四半世紀。一部の中小零細企業では既に消費税を価格に転嫁できていないと聞きます。消費税が増税されて価格転嫁が出来ない=原価増だとしも、経営は耐えられるのか?自社の原価環境を整備し、来たるべき増税に備えましょう。(文:和田仁支)

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名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

企業も人も十人十色。全く同じ会社は世界に二つと存在しません。そして、御社の原価も全く同じものは存在しません。


まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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