【在庫の原価管理】在庫を寝かせるといくら損するか知ってますか?

全ての業種に関係する“在庫による損失”をとりあげます。考えたことがあるようで無い部分だと思いますので、是非、今回の考え方をマスターしてください。

早速ですが、あなたの会社にはいくらの在庫がありますか?簿記でいえば、材料・仕掛品・製品勘定などに仕訳されるものです。会計上では「たな卸資産」といいます。これらの金額の合計が、貸借対照表に「たな卸資産」額として計上されます。毎月在庫調査を実施している企業もありますが、ほとんどの企業は決算月で、実際に棚卸をしない限り、正確な数値を割り出す事は難しいでしょう。

当たり前の話ですが、製品が完成しても、それだけでは収益になりません。完成した製品が売れてはじめて、売上高として計上されます。簿記のうえで在庫は、常に数量で管理されています。「数量あたり〇〇円の単価で、それがどのくらいの量残っているか」という尺度で認識します。ここには在庫が、現場でいったいどのくらいの期間眠っており、どれだけ損をしたのか、という観点はありません。従来の会計方式では、決算日における在庫数量を把握するだけで、「在庫が何日寝ているか?」という発想が、抜け落ちているのです。

では、仮に「1万円のたな卸資産を1日寝かせると、いくら損する」のでしょうか。

たな卸資産は貸借対照表では、資産になりますので、現金が姿を変えたものとして認識することが出来ます。そのたな卸資産のために必要であった資金にかかった利子支払い分を考えて、銀行の貸出金利にて「1万円のたな卸資産を1日寝かせても、数円の損」という答えを出すことも出来ます。これはこれで理論的な考え方なので間違っていないと思いますが、もう少し別のアプローチで検討します。

「たな卸資産粗利益率」を使って、たな卸資産の損失を理解してみましょう。「1万円のたな卸資産を1日寝かせると、いくら損するか」という問いを、「本来なら、その1万円のたな卸資産は、1日でいくら稼ぐはずなのか」という収益性に着目をした問いに変換して検討します。

たな卸資産が100万円で、粗利が500万円の場合、「たな卸資産粗利益率」を計算すると、粗利500万円÷たな卸資産100万円=5=500%となります。計算の結果、たな卸資産は、1年間で、その5倍にあたる粗利を稼ぐということが分かりました。

では、1万円分のたな卸資産は、1日にいくらの粗利を稼ぐことになるでしょうか。1年間の粗利は、1万円×500%=5万円と求めることが出来ます。1日の粗利は、5万円÷365日=137円と求めることが出来ます。この計算により、1万円分のたな卸資産を1日寝かせると、137円の利益を逃している=損をしていることになります。

原価計算は言い換えればコスト計算ですが、原価管理とはコストの管理だけでは無く、リスクの管理もする事だと私は思います。「1万円のたな卸資産を1日寝かせる」という設定において、その在庫のために必要であった資金にかかる、銀行の貸出金利だけを考えるなら、損失はせいぜい数円程度ですが、「いくらの利益を逃しているのか」という観点でぜひ一度、あなたの会社の損失額を計算してみてください。在庫を放置することにいかにリスクがあるか実感できると思います。
(文:和田仁支)


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名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

企業も人も十人十色。全く同じ会社は世界に二つと存在しません。そして、御社の原価も全く同じものは存在しません。


まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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