【美容院の原価計算】巷に溢れる1,000円カットが既存の美容院よりボロ儲けって本当?

今回は、2種類の美容院を取り上げます。

有名な話ですが、美容院の数はコンビニの店舗数よりも遥かに多く、コンビニの店舗数が平成24年で約5万店舗に対し、美容院はなんとその5倍近い約23万店舗です!また、毎年10,000店の新規出店、8,000店が廃業する業界でもあり、毎年2,000店舗も純増しているため店舗毎の売上は減る一方です。そんな中、ここ数年で美容院は昔ながらの美容院(以下、美容院)と、新市場の1,000円カットのような低価格美容院(以下、1,000円カット)に二極化しています。実際に美容院を辞めて1,000円カットとして新オープンする店もあるほどです。では、1,000円カットが美容院よりも儲かるのか?そのカラクリを原価計算から紐解いてみましょう。

二極化する美容院は、限界利益と期間損益の関係性を整理する事で儲かるカラクリが見えてきます。美容院を辞めて1,000円カットとして新オープンしたお店の状況を比較すれば分かり易いです。

仮に美容院の頃の限界利益はカット代4,000円に対してシャンプー等の材料費が200円で3,800円、1,000円カットはカット代1,000円に対して材料費は100円で900円とします。お客さん1人に対する限界利益は美容院が圧勝ですが、ここに期間損益という視点を加えると状況が変わります。美容院の頃は1人に対して平均60分(洗髪~カット~マッサージ)かかるので1日6人のお客様でしたが、1,000円カットは平均10分(カットのみ)なので1日40人のお客様に増えたとします。1日8時間(480分)の営業時間の使い方を考えれば1,000円カットのほうが効率的です。

この効率の良さは固定費の負担に大きな差が出ます。設備と人員は変えずに店舗形態だけを変更したとすれば固定費は同じです。仮に月々の固定費が24万円だとすると、1カ月25稼働日で8時間働くとすれば1分あたりの固定費は20円(24万円÷25日÷480分)となります。1人あたりの固定費は、美容院の頃は1,200円(20円×60分)でしたが、1,000円カットにすると200円(20円×10分)に減ります。

限界利益から固定費を差し引いた利益ベースで比較すれば、美容院は1人当たり2,600円(3,800円-1,200円)、1,000円カットは700円(900円-200円)となり、1日あたりの利益は美容院が15,600円(2,600円×6人)、1,000円カットは28,000円(700円×40人)となります。

それぞれを1カ月という期間で比較すると美容院の頃の客数は150人(6人×25日)、1,000円カットは1,000人(40人×25日)となりますが、この来客数で固定費24万円は回収出来たのかを検証してみましょう。

1人当たりの固定費に来客数を考慮すると美容院は18万円(1,200円×150人)、1,000円カットは20万円(200円×1,000人)となるため、未回収の固定費は美容院のほうが多くなってしまい利益を圧迫します。1カ月あたりの利益は美容院の頃が33万円(3,800円×6人×25日-24万円)、1,000円カットが66万円(900円×40人×25日-24万円)と、限界利益の関係性とは逆転し、なんと期間損益は倍増しました!!この前提であれば1,000円カットのほうが美容院よりも儲かると言えます。

この期間損益の違いは時間の使い方の違いです。美容院の利益が少ない理由は売上に直結しない時間の多さにあります。価値は生まなくてもコストは一方的に生じます。商品の限界利益では無く、時間に対する限界利益をいかに最大にするか?是非、自社に置き換えて検討してみてください。(文:和田仁支)

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名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

企業も人も十人十色。全く同じ会社は世界に二つと存在しません。そして、御社の原価も全く同じものは存在しません。


まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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