【会計事務所の原価計算】全国のコンビニ数の半分もある会計事務所の原価って何?

今回は筆者の業界である会計事務所の原価計算です。一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、平成24年の税理士事務所及び公認会計士事務所数は、全国で約3万事務所(経済センサス活動調査)です。同じ時点のコンビニエンスストアの店舗数は約4万8千店舗(経済産業省商業動態統計調査)。なんとコンビニエンスストア店舗の半分超が会計事務所となります。もう少し身近に感じて欲しいものです…。

そして、会計事務所1事業所当たり企業数の全国平均は131件。従業員1人に対する顧客数を仮に30件とすれば、会計事務所で顧客対応をしている人数は約4人です。顧客対応をしている従業員(総合職)が4人、営業兼経営をしている所長(社長)が1人、サポート(一般事務)が1人。この6人というのが会計事務所のモデルケースでは無いでしょうか。

会計事務所の売上となる報酬は、大きく分けると次の5つに分けられます。顧問料、決算報酬、税務相談料、記帳代行料、その他、です。では、その費用は何か考えてみると、基本的に人が商品です。労務費及び家賃で7割以上を占めると考えられます。原価計算を実施するうえで労務費は、賃率×時間で求めます。

しかし、賃率にも複数種類が存在します。一人一人個別に計算するか平均を採るかによって個別賃率と平均賃率に分かれます。平均賃率は職種別平均賃率(職種毎の平均を採る)と総平均賃率(全体の平均を採る)に分かれます。そして、賃率には実際賃率と予定賃率の二種類があります。実際賃率は、原価計算期間の実際の賃金支払高に基づき算出します。予定賃率は、期首に当該会計期間の賃金支払高と同期間における就業予定時間の合計を見積もり、予定賃金支払高合計を予定就業時間数合計で除すことで算定します。実務的には予定総平均賃率又は予定職種別平均賃率が多いと感じます。予定賃率を使用する理由として、実際に支払われた給与で計算すると賞与支払い月の原価がすべて高くなってしまう等、突発的事由の影響を受けてしまいます。また、給与の確定を待たずに素早く算出出来るため、経営の意思決定を行ううえで適しています。モデルケースの予定総平均賃率は、総合職、一般職、社長全員の平均賃率となるので、その会計事務所の従業員誰でも1時間働けば同じ労務費が発生しているものとして考えます。売上が発生する顧客対応をしている総合職が他の方の労務費も負担しているような考え方です。

私的には、営業職の責任の重みを示す指標としては適していると思います。クレーム対応時間に対する機会損失をこの賃率で算出すれば、会社にとっていかに自分の行動が不利益となるか一目瞭然です。職種別平均賃率は総合職4人の平均賃率、一般職、社長各々の賃率となるので、職種別の労務費に差が出せます。様々な職種が在籍するような部門別の評価には適しています。

賃率については、会社環境によって何を採用すれば良いのか異なります。職種別平均賃率を採用すれば、比較的高齢な部署は原価が増えます。ウチに若い人材をよこせ!と叫ぶ部長が出て来るかもしれません…真実の原価を追い求めるあまり、社内に不協和音が響いては本末転倒です。よく考えて設定してください。(文:和田仁支)

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プロフィール

名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

企業も人も十人十色。全く同じ会社は世界に二つと存在しません。そして、御社の原価も全く同じものは存在しません。


まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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