【建設業の原価計算】マイホーム建てると25%は業者の利益?物件毎の把握では不十分。

今回は、建設業の原価計算です。その中でも注文住宅を取り上げます。

仮に木造二階建ての新築住宅を中小工務店が建築するとしましょう。注文住宅の原価計算は、個別原価計算です。

個別原価計算とは、その名の通り個別で原価を集約する計算方法です。業種としては、受注を受けて製品を個別に生産するような建築業、機械製造業、造船業等に使用されます。受注毎に個別で原価を集約するので、費用の見える化という意味では非常に見えやすく、利益が出ているか一目で分かります。

この新築住宅の建築に必要な費用は、設計料、木材・断熱材等という基本的な材料費から、システムバスや火災警報器等の設備費、水道や電気を引き込む費用、完成見学会の諸費用、建築士の労務費等となります。建設業界では、粗利段階で25%というのが一つの指標です。中小工務店では30%を目指していると聞いた事もありますが、この業界指標を守っていれば大丈夫かというとそんな事はありません。ここに個別原価計算の怖さがあります。

先にも説明しましたように個別原価計算は費用も利益も見えやすい原価計算です。建設業の実務的には、粗利25%になっている見積原価を算出し、原価を積上げ、実際原価段階では粗利26%という近似値になる事も珍しくありません。ここで忘れてはいけないのが粗利からは営業、総務、社長の給料が控除される他、営業車の費用や、事務所の家賃等の多額の固定費も控除されます。つまり、粗利率目標の前に固定費を吸収できる程の売上高が必須なのです。

いくらの売上があれば固定費を吸収出来るか?この売上高を損益分岐点売上高と呼びます。売上高が著しく減少するようであれば粗利率目標は高くなって当然です。業界の指標だからと目標を設定し、そこを目指せば業績が良くなると思うのは大きな勘違いです。今まではその指標が大きく外れる事は無かったかもしれませんが、経済のスピードは加速しています。過去に囚われず、自社の現状と業界の動向を鑑みて目標を設定する必要があります。個別原価計算であれば尚更その線引きが重要です。是非、この機会にこの先5年間の損益分岐点売上高を並べてみてください。
(文:和田仁支)

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名古屋の原価コンサルタント 和田仁支

Author:名古屋の原価コンサルタント 和田仁支
ブログタイトルにある“無双”とは、唯一無二という意味です。

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まさに“原価”“無双”です。


そんな原価の計算・活用・管理に役立つ情報を私の感性でお送りします!!

<経歴>
高校生の回転寿司アルバイトで年間給与100万超。売れるネタと儲かるネタが違う事を知り、企業経営に興味を持ち税理士を目指す。会社組織を知ろうと新卒でトヨタ系上場企業に入社。税務を希望するも畑違いの「原価担当」となり、入社早々会社組織の理不尽さを体験。しかし、現地現物主義という理念が性に合い、1ヶ月の半分以上を現場に通い、人・モノ・設備の流れを原価に変える力を身に着ける。現在は名駅(柳橋市場の近く)にある税理士法人の一員として、中小企業経営者の支援をする傍ら原価コンサルタントとして執筆・研修・原価管理導入支援コンサルを行う。

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